Webサイト制作の発注前には、ほとんどの場合「制作費用の見積り」をご依頼いただいています。今回はこの見積りにまつわる、知っておいてほしい事柄についてお話したいと思います。
定まらないと定まらない
「まず見積りを取得!」と見積りの依頼をされた事はありませんか?
制作についての「具体的な内容」が定まっていない状態で見積り依頼をされた場合、当然ながら「大雑把な見積り」となってしまい、「想定していたよりも金額が高い。」「◯◯の作業は項目に含まれているのだろうか…?」といった、不安や期待に反する結果になりがちです。
正確な見積りは、以降で紹介する「3つの要素」を基に制作費を計算することで、金額が定まっていくので「(やりたいことが)定まらないと(制作費も)定まらない」のです。
見積りを構成する3つの要素
見積りには制作費を決めるための「3つの要素」があります。
一つは「作業項目」です。これは「要件」と言う「目的達成のために必要な機能や作業要求」をまとめたものを基にして何の作業を行うのかを決めています。それに加えて「作業期間」と「制作予算」の2つの要素も加わり、「3つのバランスを取る事」で条件に合った見積りが完成します。
「要件」のもう少し簡単な解説
Webサイト制作での「要件」を簡単にまとめると以下の様な事柄を指します。
- 制作するサイトの目的(売上UPや、知名度UPなどの達成したいこと)
- サイトに必要な機能、実装したい機能
- サイトデザインに関する要望
- 制作時に依頼したい作業
もっと平たく言うと「理想のWebサイト像」と「制作会社にやってほしいこと」をまとめる事です。
見積り依頼の事前準備と考え方のポイント
「作業項目・作業期間・制作予算」の関係性を知った上で、依頼を行う前の事前準備を始めましょう。ここでは、どういった部分に気を付けて、どの程度決めておけばいいのか?事前に検討するポイントをいくつか紹介します。
制作するWebサイト像をある程度明確にしておく
冒頭でも述べた様に「どんなWebサイトを作れば良いのか?」を考えないと先には進みません。まずは、制作するWebサイト像を「ある程度明確に」しておきましょう。
(つまり「要件をまとめる」ということです。)
要件をまとめた資料として「RFP(提案依頼書)」といったものを作成してもらうと、情報の整理もできるのでより良いのですが、まずは簡単な「箇条書き」でも良いのでやるべきこと、実現したいことをまとめる事をしましょう。
【コーポレートサイトのリニューアルの要件(例)】
- 過去実績を随時公開していきたい
- ユーザー向けの情報を随時公開していきたい
- 複数の担当者でサイト管理をするため、CMSを導入したい
- レスポンシブレイアウトで構築してほしい
- スクロールした際のアニメーション演出も加えたい
- 過去の掲載情報をアップデートしていきたい
- 追加するコンテンツの文章作成をしてほしい
- サイト掲載用写真の撮影を行いたい
- 信頼感・清潔感のあるサイトデザインにしてほしい
要件の優先順位も検討しておく
要件を挙げたら、それらに「優先順位」を決めておくこともおすすめします。
要件も沢山挙げると、それらを実装するための作業が増え、予算や制作期間に収まらなくなることがよくあります。優先順位は予算や制作期間の上限を超えた場合、作業内容の「取捨選択を行う基準」になるので、設定しておくと調整を行う時に役立ちます。
優先順位は「必ず実現(実装)したいもの」「後々実現(実装)できればいいもの」「実現できればいい(特に重要では無い)」の3段階くらいで決めておくとわかりやすく、判断もしやすいです。
【 必ず実現(実装)したいもの 】
- 過去実績を随時公開していきたい
- ユーザー向けの情報を随時公開していきたい
- 複数の担当者でサイト管理をするため、CMSを導入したい
- レスポンシブレイアウトで構築してほしい
- 追加するコンテンツの文章作成をしてほしい
- サイト掲載用の写真撮影を依頼したい
- 信頼感・清潔感のあるサイトデザインにしてほしい
【 後々実現(実装)できればいいもの 】
- 過去の掲載情報をアップデートしていきたい
【 実現できればいい(特に重要では無い)】
- スクロールした際のアニメーション演出も加えたい
サイト公開予定日の目処をつけておく
制作作業にどの程度日数が必要なのかわかりにくいと思いますが、「この日にはサイトを公開しておきたい」と理想のタイミングはあると思います。例えば以下のようなタイミングです。
- 会社の新年度や、四半期の開始日
- 新商品や新サービスのリリース日
- 展示会やイベントの開催日
いわゆる「節目となるような日」を目処としておくと、考えがまとまりやすいです。
検討する時に気をつけて欲しい点として、「公開予定日までの期間がどの程度空いているか?」という点です。
公開予定日を決めていても、期日までの作業期間が短いと作業時間が取れず「制作が期日までに完了出来ない」となるケースもあります。
その場合は時期の再検討をしつつ、第1希望・第2希望といった複数の公開予定日を設けて作業期間の調整ができる幅を設けておくと良いです。
制作予算の上限額を社内で確認しておく
最後に制作予算についてですが、これについてはご担当者様の一存で決めることができないことが多いと思いますので、社内の「決済者」の方に事前に確認することが望ましいです。
上限額もズバリの金額でなく、「◯◯◯万円以内」「◯◯◯万〜◯◯◯万円の間」といった、ある程度の幅を持たせることで、他の要素とのバランス調整が行いやすくなります。
見積り内容の説明の場を設けるのが理想
事前準備でまとめた情報に基づいて見積りを作成した場合でも、提示された見積り内容についての説明や解説をしてもらえる場は、できる限り設けるようにしましょう。
具体的な内容提示がされても、個々の作業項目にはどういった作業が含まれていて、どの様な作業を行うのかなど、質問を行って不明な点をできる限り無くしておく事をおすすめします。
当社の見積り作成プロセス
当社ではフォームの質問事項とヒアリング内容に基づいて、要件を定めて「概算見積り」を作成し、おおよその費用感と制作スケジュールをご確認いただいています。
その後、対面での打ち合わせを行い、より詳細なお話を聞いて「再検討と調整」の後、「確定見積り」を提出しています。
見積りが確定するまで時間がかかる部分はありますが、「初回見積り提示までのスピード」と、「内容の精度を上げる」ための施策としてこういったフローを実施しています。
事前準備を行って、条件に合った見積りの獲得を
見積りは単に「価格の確認」だけを行うものでなく、「制作作業の内容」を把握するための資料にもなり、後の制作作業上のトラブル(金銭面、作業面)を回避することにも繋がりますので、ご依頼前の「事前準備」をできる限り行ってみてください。
「自分では決められない…」となったら
紹介した事前準備の内容を、自分だけで考えるのはハードルが高いと感じられたら、見積り依頼をする前に「制作内容のご相談」をいただければ、一緒に考えることが可能ですので、悩まずお気軽にご相談ください。